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  3. 20180502号 タイトル:「創造的“妥協“という視点」

世の中はゴールデンウイークということで行楽地はどこも賑わっていることでしょう。 私も実家のある門司港に帰郷した際に、北九州市立白野江植物園に寄ってきまし た。あまり知られていないおかげで人出も少なく、ゆっくりと今の季節の草木を楽し むことができました。

母は俳句の会などで、よく訪れていて、今回も色々な花を元気に私に紹介してくれ ました。その中で、今年は私に特に見せたい花があると、その花の咲いている木の 所に私を案内してくれました。それは「ハンカチの花」と言って、まるで白いハンカチ を木の枝に結びつけたように見える花です。

ミズキ科の木で、花についた白い大きな2枚の苞葉が垂下がって、それがハンカチ のように見えるのでこの名前になったのだそうです。中国の雲南省が原産地です。 白野江植物園に植樹されてから随分経ちますが、今年のように沢山の花が咲いた のは初めてだそうです。この木の周りだけは多くの人が立ち止まって、その花の一 風変わった様子を観賞していました。


★2018.4.30. 北九州市立白野江植物園にて撮影 ハンカチの花
※中央の丸い部分が花で、白い花弁に見えるのは苞葉

創造的“妥協“という視点

私が野鳥の会に入会して30数年鳥と付き合ってきましたが、その間に鳥との関り についてエッセイ「鳥信(ちょうしん)」を書いてきました。もう200篇くらいになります。 書き始めの頃は鳥の紹介という性格が強く、自分の思いが少し加わっているもので したが、やがて自分の心象風景との重なり、自分の考え方などを表すものへと変わ ってきました。熟してきたのか、枯れてきたのか、衰えてきたのか分かりませんね。

エッセイを書いてきた20年間の自分の変化が、まるでコマ落しのフィルムのように 行間や使われている言葉などから、うかがえるのが面白く楽しみでもあります。

今回のなかよし情報では最近書いた鳥信を紹介したいと思います。拙文ですが、 お付き合いください。

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信NO.201 アオゲラ(緑啄木鳥)Picus awokera

タイトル:創造的“妥協”という視点

夏目漱石の草枕の冒頭に「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を 通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい。」とある。他人との関係の難しさの一面 を語っている。何かを他人と行おうとするときに、自分の考えが他と一致していれば 事はスムーズに進むが、違っている場合に、或いは途中で違ってきた場合にどう話 し合うかはなかなか難しい。

日本では民主主義=多数決と学校で教えられるので、結局多数派の意見が“公意” になり、個人や少数派の意見が軽視や無視されても、仕方のないものとする傾向 がある。そのために対立や反目は日常的に生じている。

民主主義とは人間の歴史の中から幾多の争いや戦いの結果、ようやく見出された 意思の疎通についての考え方であり、話し合いに臨む姿勢のことだ。対立や反目を 無くして、みんなが幸せに仲良く生きる社会を実現するために、とことん話し合おう とする決意と覚悟がそこに在る。

現実的には、自分と他者の意見が違っている場合に同じにするのはなかなか難し い。もともと自分と他者とは違う人間で、生い立ちも人生経験も考え方も違っている のが当たり前。ではどうしたら個人の考え(私意)が尊重されつつ、他の考えと融合 させて、“公意”が形成できるのだろうか。

私は“妥協”することが必要だと思っている。“妥協”とは、本来「対立した事柄につ いて、譲り合って一致点を見出し、穏やかに解決すること。」という意味だ。これは 人間の知恵の一つ。よく言われる「妥協の余地がない」というのは、“余地”を見出 せるまで話し合わなかったときに使う言葉ではないかと思う。

世の中が「右か左か」、「善か悪か」のような極端な考え方になりつつある現在、も っと時間をかけて、様々な違った意志や考えを反映できる妥協点を見出していくこ とが、大切なのではないだろうか。みんなが良くなるために、“妥協”をより創造的に 用いることで、争いの無い、親愛の情に充ちた世界が生まれるように思えるのだが、 どうだろうか。

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漱石は草枕の冒頭に「山路をのぼりながらこう考えた」と書いて、この有名な言葉 を残している。私も山登りをしている時に、着想のランプがふと点灯することがある。 今回の“妥協”についても思い浮かんだのは山の中だ。一通り着想の整理が終わ ると、鳥の鳴き声や、木々の間を伝わってくる風の音などが蘇ってくる。この日は一 羽のアオゲラの甲高い声が、私の意識を山の空間へと引き戻してくれた。

註)アオゲラ:キツツキ目キツツキ科アオゲラ属。日本固有種。全長29cm。全体的 には黄緑色。腹部や尾羽基部は白く、頭部や頸部の羽衣は灰色。嘴の基部から側 頭部にかけて黒い(一部赤い)筋が入る。本州から南に分布する。平地から山地に かけての森林に生息し、主に幹や枝で昆虫を採食するが、果実も食べる。
参考WEB: https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1373.html

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